うまポイ共有オーナーズ
ブログ一覧
レポート2026年4月14日

馬主を法人で持つメリット・デメリット|JRA確認+税理士相談の結論

馬主は個人と法人、どちらで持つべきか。 僕は個人馬主だけど、法人化を真剣に検討した時期がある。結論から言うと、年間の馬関連支出が500万円を超えるあたりから法人のメリットが出てくる。ただ、法人には法人の面倒くささがあるし、そもそも「個人馬主としての実績がないと法人馬主になれない」という壁もある。両方のリアルを書く。

そもそも法人馬主とは

個人馬主との違い

馬主登録には「個人馬主」と「法人馬主」の2種類がある。法人馬主は、会社名義で馬主登録し、馬の購入費や維持費を法人の経費として計上できる仕組み。

ちなみにJRAの場合、法人化しなくても「◯◯レーシング」のように名義だけ法人っぽく変更することは可能。これは法人馬主とは別物で、あくまで個人馬主の表記変更。混同しやすいポイントなので注意。

法人馬主の登録要件

項目JRA(中央)NAR(地方)
資本金特に規定なし競馬場による
所得要件直近2年で1,700万円以上競馬場による(数百万〜)
代表者の馬主資格必要必要
個人馬主の実績必要(年数は明言されず)競馬場による

意外と見落としがちなのが、法人で登録しても代表者個人の馬主資格が必要という点。さらにJRAの場合は個人馬主としての実績も求められる。僕は馬主資格を取ってすぐJRAに電話で確認したが、「明確には言えないが、基本的には個人馬主としての実績が必要」との回答だった。

つまり、最初から法人馬主でスタートするのはハードルが高い。

個人馬主の経費問題:なぜ法人化が話題になるのか

個人だと経費として認められない場合がある

ここが一番重要なポイント。個人馬主の場合、馬の維持費は「雑所得」の経費として計上するのだが、そもそも経費として認められるための条件がある。

個人馬主の経費算入要件
個人馬主の経費算入要件

JRAの公式ホームページには、経費算入の要件として以下が規定されている。

  • 5頭以上所有していること
  • 過去3年のうち1年は、年5回以上出走(2歳馬は3回以上)の競走馬(共有馬を除く)があること
  • 過去3年間、競馬の賞金等の収入があること

この条件を満たさないと、維持費を経費にできない。しかも地方によってはさらに厳しい解釈をされるケースもあるらしく、税理士に相談したところ「法人化すればこれらの条件に関係なく経費にできる」と言われた。

要は、馬の頭数が少ない個人馬主は経費計上のハードルが高い。 法人にすれば事業として認められるため、条件を気にせず経費にできる。これが法人化の最大の動機になる。

法人馬主のメリット

経費の幅が圧倒的に広い

法人なら馬関連の支出をほぼ全て事業経費にできる。

  • 馬代: 減価償却(競走馬は耐用年数4年)
  • 預託料・装蹄料・輸送費: 全額経費
  • セリ参加の交通費・宿泊費: 出張経費
  • 馬主仲間との食事: 交際費(年800万円まで全額損金)
  • 車: 牧場や競馬場への移動用として按分計上

個人だと「趣味でしょ?」で片付けられがちな支出が、法人なら事業活動として認められやすい。特に5頭未満の個人馬主にとっては、法人化するだけで経費の壁が一気になくなる。

赤字を翌年以降に繰り越せる

法人の大きなメリットがこれ。赤字を最大10年間繰り越せる。

馬主は1年目〜2年目が大赤字になりやすい。個人だと、その赤字は基本的にその年で消える。法人なら、3年目に馬が勝って黒字になったとき、過去の赤字と相殺できる。

僕の場合、3年間で累計▲2,300万円の赤字を出している。もし法人化していたら、最初の2年間で経費算入できていた。試算では、サラオクで購入したパーディシャーの250万円分と、現2歳世代の預託料400万円ほど、合計約650万円が追加で経費にできていた計算になる。

税率が一定

個人の所得税は累進課税で、所得が増えるほど税率が上がる(最大55%)。法人税は約23%〜30%で一定。

年間の賞金収入が大きい馬を持っている場合、法人の方が手残りが多くなるケースがある。本業の所得が高い人ほど、法人化のメリットは大きい。

法人馬主のデメリット

法人の維持コストがバカにならない

法人を作ると、馬が走ろうが走るまいが固定費がかかる。

  • 法人住民税(均等割): 年7万円(赤字でも発生)
  • 税理士費用: 年30万〜50万円
  • 決算・申告: 個人の確定申告より圧倒的に面倒
  • 社会保険: 役員報酬を出すなら加入義務あり

僕の場合、本業の会社とセットで税理士にお願いしていて年間約30万円。これはかなり安い部類だと思う。馬主専用で税理士を雇うとなると50万円近くかかる可能性がある。

馬1頭しか持っていないのに法人を維持するのは、正直コスパが悪い。

個人馬主の実績がないと登録できない

先ほども書いたが、JRAでは法人馬主の登録に個人馬主としての実績が求められる。僕が法人化を「やめた」最大の理由がまさにこれ。馬主資格を取ったばかりで実績がなかった。

何年の経験が必要かは明言されていないが、少なくとも「取ったばかり」では難しい。法人化は将来の選択肢として温めておくしかない状況だった。

賞金=自由に使えるお金ではない

法人口座に入った賞金を個人で使うには、役員報酬か配当として出す必要がある。その際にも税金がかかる。

要は、法人に入った賞金=自分のお金、ではない。 ここを理解せずに法人化すると「あれ、手元にお金が残らない」となる。

個人と法人、どっちを選ぶべきか

個人 or 法人?判断フローチャート
個人 or 法人?判断フローチャート

法人化した方がいい人

  • 本業の所得が高い(所得税率33%以上)
  • 馬を5頭以上持っている、または持つ予定
  • 個人馬主として数年の実績がある
  • 既に法人を持っている(追加の維持コストが少ない)

馬主仲間で法人化している人は20頭以上持っているような規模。そのレベルになると法人の方が圧倒的に有利。

個人のままでいい人

  • 馬は1〜2頭で趣味の範囲
  • 本業の所得がそこまで高くない
  • 経費算入の要件(5頭以上等)を今は満たせない
  • 共有馬主として参加する場合

共有馬主の場合はどうなる?

「代表馬主を法人名義でやったらメリットある?」と聞かれることがあるけど、正直あまりない。法人か個人かは代表馬主の名義の違いだけで、共有者はそれぞれ自分の持分に対して経費の取り扱いをする。代表が法人だからといって共有者の税務が変わるわけではない。

僕が個人のままにしている理由

法人化した方が税務上は得だったかもしれない。でも僕は個人のまま。

理由は2つ。まず、個人馬主としての実績が足りなかった。JRAに確認して「今は難しい」とわかった時点で、一旦保留にした。もう1つは、馬の事業だけで経費算入の要件を満たせていない。5頭以上・年5回以上出走の条件は、今の3頭体制では厳しい。

もう少し頭数を増やして、馬の事業だけで要件が満たせるようになったら法人化を考える。それまでは個人で粛々とやるだけ。

まとめ:法人化は「いつか」の選択肢として持っておく

馬主の法人化は、節税のための手段であって目的ではない。 維持コストと手間を考えると、馬1〜2頭の趣味馬主なら個人で十分。5頭以上持つなら法人化を検討する価値がある。

馬主の費用全般については費用ガイドで、始め方の手順は馬主になるにはガイドで詳しく書いている。

競馬場のパドック風景

共有馬主を始めてみませんか?

馬主資格をお持ちの方、これから取得予定の方、まずは募集馬をご覧ください。 ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。