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馬主資格の取得方法

最終更新日: 2026年4月5日

共有馬主を始めるには馬主資格の取得が必須だが、地方競馬なら所得500万円から申請できる。僕自身JRAと地方の両方を取得した経験から言うと、書類準備が最大の関門であり、審査そのものは要件さえ満たせば難しくない。

馬主資格取得から共有馬主になるまでの全体像

共有馬主になるまでのステップは大きく6つある。僕が実際に歩んだ道のりもこの流れだった。

  1. 馬主資格の取得条件を確認する — JRAと地方競馬で要件が大きく異なる
  2. 必要書類を準備する — 公的書類は全て代理取得が可能
  3. 馬主登録を申請する — 地方競馬は地方競馬全国協会、JRAはJRA登録課へ
  4. 審査を通過し、馬主資格を取得する — 地方は約5ヶ月、JRAは約2〜3ヶ月
  5. 共有馬主クラブで募集馬を選ぶ
  6. 出資を申し込み、共有馬主になる

書類準備から審査通過まで、地方競馬なら半年弱、JRAなら3〜5ヶ月が目安になる。僕の場合はJRAで書類の差し戻しがあったため5ヶ月かかったが、スムーズにいけばもう少し短い。共有馬主として出資する馬を選ぶ段階まで含めると、思い立ってから実際に馬主になるまでに半年〜1年は見ておいたほうがいい。

共有馬主の仕組み自体については共有馬主とは?仕組みをわかりやすく解説で解説している。

地方競馬の馬主資格要件

地方競馬の馬主資格は、JRA(中央競馬)と比べて取得しやすいのが最大の特徴だ。共有馬主を始めるなら、まずこの地方馬主資格の取得を検討するのが現実的なルートになる。

審査は年5回(3月・5月・7月・10月・12月)開催され、申請から登録まで概ね5ヶ月程度。登録料は1万円だ。

(出典: 地方競馬全国協会

区分主な要件
個人直近年の所得金額が500万円以上(収入ではなく所得)
法人払込済資本金300万円以上/直近2年連続赤字でないこと/債務超過でないこと/代表者の所得が個人要件を満たすこと
組合組合名義の定期預金300万円以上/組合員各自の所得300万円以上

所得の注意点: 一時的な所得(不動産や株式の売却益、競走用馬ファンドの配当金、中央競馬の賞金など)は算入されない。サラリーマンの場合、所得500万円に相当する年収は約700万円だ(源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄で確認できる)。

僕が地方馬主を取得したときは、JRAの馬主資格を先に持っていたこともあり審査が非常にスムーズだった。所得要件のハードルが低い分、「まず地方から」という選択は堅実だと思う。地方馬主の共有馬主にかかる費用感は費用ガイドにまとめている。

JRA(中央競馬)の馬主資格要件

JRA馬主資格は地方競馬に比べて要件が厳しく、高い所得・資産要件が求められる。JRAの馬主登録審査基準(1992年設定、2025年6月改正)に基づく各区分の要件は以下の通りだ。

(出典: JRA公式サイト / 馬主登録審査基準PDF

区分主な要件
個人過去2年とも所得2,000万円以上(継続的所得のみ)/資産1億円以上(不動産・預貯金・有価証券。負債は差引)
法人資本金1,000万円以上/代表者が個人要件(所得2,000万円以上・資産1億円以上)を満たすこと/代表者が出資額の50%以上を出資/事業目的に競馬関連項目が必要
組合組合員3〜10名/全員の所得1,000万円以上(軽種馬生産者は700万円以上)/組合名義預金1,000万円以上/各組合員の出資比率10%以上50%未満
軽種馬生産者(個人)所得1,100万円以上/牧場規模:北海道15ha以上(その他5ha以上)/繁殖牝馬サラ系6頭以上/直近2年以上の生産実績

所得2,000万円・資産1億円というのは確かにハードルが高い。僕の場合は幸い要件をクリアできたが、この数字を見て諦める人も多いと思う。ただし共有馬主であれば出資額は数百万円単位なので、資格さえ取れれば維持費含めた実際の負担は意外と現実的だ。

JRA馬主の資産として認められる範囲

JRAの資産要件(1億円以上)で認められる資産は限定されている。暗号資産やゴルフ会員権は対象外なので注意が必要だ。

(出典: 馬主登録審査基準 別表1

資産に含まれるもの資産に含まれないもの
日本国内の土地・家屋・借地権海外の不動産
預貯金保険証券
金銭信託・貸付信託ゴルフ会員権
国債・地方債・金融債・社債書画骨董
公社債投資信託・株式投資信託暗号資産(仮想通貨)
上場株式車両・動産
日本国内の未公開会社の株式・出資持分

地方とJRAの馬主資格要件比較

地方競馬の馬主資格はJRAの約4分の1の所得要件で取得可能だ。共有馬主を検討している方は、まず地方競馬の馬主資格から取得するのが一般的なルートになる。

項目JRA(中央)地方競馬
個人の所得要件2,000万円以上(2年連続)500万円以上(直近年)
個人の資産要件1億円以上なし(総合審査)
法人の資本金1,000万円以上300万円以上
組合の預金要件1,000万円以上300万円以上
審査回数年3回(4月・7月・11月)年5回(3月・5月・7月・10月・12月)
審査期間約2〜3ヶ月約5ヶ月
登録料別途1万円
面接あり(本人出席必須)原則なし

地方競馬の馬主登録に必要な書類

地方競馬の馬主登録申請に必要な書類の一覧だ。公的書類は発行日から3ヶ月以内のものが必要で、提出書類は返却されない。公的書類は全て委任状で代理取得が可能だ(行政書士に依頼する場合の費用目安は約3万円)。

(出典: 地方競馬全国協会 馬主登録申請ガイドブック

書類名取得場所代理取得
馬主登録申請書(写真3葉貼付)NAR公式サイトからDL— (本人記入)
経歴書NAR公式サイトからDL— (本人記入)
念書(甲)・念書(乙)NAR公式サイトからDL— (本人署名)
個人情報取扱い同意書NAR公式サイトからDL— (本人署名)
住民票(世帯全員用)住所地の市区町村役場可(委任状+代理人の本人確認書類)
戸籍謄本(全部事項証明)本籍地の市区町村役場可(委任状。郵送請求も可)
身分証明書本籍地の市区町村役場可(委任状。「破産者でない証明」と伝える)
登記されていないことの証明書東京法務局 or 各地方法務局可(委任状。法務局HPから様式DL可)
印鑑証明書住所地の市区町村役場可(印鑑登録カード持参)
所得証明書(市区町村発行)住所地の市区町村役場可(委任状)
確定申告書の写し or 源泉徴収票本人保管 / 勤務先— (本人保管書類)

法人の場合の追加書類: 登記簿謄本(法務局、誰でも取得可)、定款の写し、決算報告書(直近2期分)、出資者名簿、誓約書

組合の場合の追加書類: 組合契約書の写し、定期預金残高証明書(300万円以上、金融機関で取得)

JRA馬主登録に必要な書類

JRAの個人馬主登録申請に必要な書類だ。地方競馬よりも資産証明関連の書類が多い。公的書類は全て委任状で代理取得が可能だが、面接は本人出席が必須になる。

(出典: JRA馬主登録審査基準

書類名取得場所代理取得
馬主登録申請書(写真貼付)JRA登録課から取り寄せ— (本人署名)
誓約書・履歴書JRA登録課から取り寄せ— (本人署名・記入)
住民票(世帯全員・本籍地記載)住所地の市区町村役場可(委任状)
戸籍謄本本籍地の市区町村役場可(委任状。郵送請求も可)
身分証明書(破産者でない証明)本籍地の市区町村役場可(委任状)
登記されていないことの証明書東京法務局 or 各地方法務局可(委任状。法務局様式推奨)
所得税の納税証明書(過去2年分)所轄税務署可(委任状。国税庁様式推奨)
確定申告書の写し(過去2年分)本人保管
住民税の課税証明書住所地の市区町村役場可(委任状)
預貯金残高証明書各金融機関金融機関による(多くは委任状で可)
不動産登記事項証明書法務局誰でも取得可(公開情報)
固定資産評価証明書市区町村役場可(委任状)
有価証券の残高報告書証券会社定期郵送の報告書で代用可
負債の額を示す書類金融機関等

僕の実感: 書類集めが馬主資格取得の最大のハードルだ。特に本籍地が遠方の場合、戸籍謄本や身分証明書は郵送請求が必要になる。ほぼ代理取得が可能なので、委任状を書いて知人にお願いするのもありだろう。行政書士に委任状で代理取得を依頼すれば、約3万円で全ての公的書類を代行してもらえるケースもあるようだ。

地方競馬とJRAの書類の違い

書類地方競馬JRA
印鑑証明書必要不要
納税証明書(税務署発行)不要(市区町村の所得証明で代替)必要(過去2年分)
資産証明書類(残高証明等)不要必要(1億円以上の証明)
住民税の課税証明書不要必要
念書(甲・乙)必要不要(誓約書で代替)
面接原則なしあり(本人出席必須)

僕の実感: 有価証券報告書の提出で苦い経験がある。2月に書類を提出したのだが、その後株価が著しく下がってしまった。要件自体は満たせていたものの、審査直前にJRAの馬主課から電話があり、改めて有価証券報告書を出してほしいと言われた。かなりギリギリのタイミングで、冷や汗をかいた。株式で資産要件を満たす予定の方は、余裕を持った資産構成にしておくことを強く勧める。

僕の取得タイムライン【実体験】

僕の馬主資格証
僕の馬主資格証

僕がJRA・NAR両方の馬主資格を取得した実際のスケジュールだ。

時期内容
2023年1月JRA馬主登録申請を開始。書類準備に約1ヶ月
2023年2月JRA登録課に書類提出
2023年4月JRA審査委員会(4月回)で審査
2023年5月書類の一部差し戻し → 修正して再提出
2023年6月JRA馬主資格取得(約5ヶ月)
2023年7月NAR(地方競馬)馬主登録申請。JRA取得済みのため書類の一部が流用可能
2023年9月NAR馬主資格取得(約2ヶ月)

合計期間: 約9ヶ月(JRA約5ヶ月 + NAR約2ヶ月)

ポイント: JRAを先に取得するとNARの審査がスムーズになる。JRAの審査でパスした書類がNARに回付されるため、NAR側の審査期間が短縮された。逆に、まず地方馬主を取得してからJRAに挑戦するルートもある。所得要件が500万円でクリアできる方は、地方から始めるのが現実的だ。

ちなみに、書類準備で一番時間がかかったのは銀行の残高証明書だった。JRAの申請締切が迫っているタイミングでメインバンクに依頼したら「窓口では即日発行できません。1週間お待ちください」と言われた。ネットバンキング主流の今、窓口での証明書発行に対応できる行員が減っているらしい。これから申請する人は、銀行・証券会社への証明書依頼は最低でも2週間前に済ませておいてほしい。

馬主資格を取った後の流れ

馬主資格を取得しただけでは、まだやることが残っている。

馬主会への入会と面接

意外と知られていないのが馬主会の面接だ。JRA馬主の審査自体には面接があるが、それとは別に馬主会への入会面接がある。中央競馬では馬主会に入会しないと馬主席の予約ができない。

馬主会は東京・中山・阪神・京都・中京など各競馬場に存在し、面接に通ればどこの馬主会にも所属できる仕組みになっている。所属する馬主会の所属馬が勝利すると、いくらか手当が支給されるという特典もある。

僕が入会面接を受けたのは東京競馬場だった。偶然にも「小山田」という同じ苗字の馬主さんと一緒になり、不思議な縁を感じながらの面接だった。聞かれた内容は「なぜ馬主になったのか?」「目指すG1レースは何か?」といったもので、終始和やかなムードだった。審査というよりも、入会前にコミュニケーションをとることが目的という印象を受けた。

以前は「1頭持ちをしていない共有馬主のみの馬主は面接で落とされる」という話を聞いたことがあったが、今はそうでもないようだ。共有馬主だけの方も安心して面接に臨んでほしい。

馬を選んで出資する

馬主会への入会が済んだら、いよいよ共有馬主クラブで募集馬を選んで出資する段階だ。馬の購入ルートや選び方については購入ルートガイドで解説している。出資可能な馬の一覧は募集馬ページからも確認できる。

ステップアップの推奨ルート

馬主資格の取得手続きだけを見ると、JRAのほうが楽な面もある。地方競馬のように別途揃える独自書類が少ないからだ。ただしJRAは所得2,000万円・資産1億円という要件のハードルが高く、コストも大きい。

ほとんどの人にとって、いきなり中央馬主を目指すのは現実的ではない。僕が推奨するステップアップの順序はこうだ。

一口馬主 → 地方馬主の共有馬主 → 地方馬主の1頭持ち(=中央馬主の共有馬主と同等)→ 中央馬主の1頭持ち

地方馬主から始めて、徐々にステップアップしていく形が最も無理のないルートだと思う。一口馬主で競馬の世界を体験し、地方の共有馬主で馬主としての実務を学び、その先を目指すかどうかはそこから判断すればいい。ステップアップの詳しい考え方はステップアップガイドにまとめている。

どのクラブで馬を持つかは共有馬主クラブ比較を参考にしてほしい。

naoyaのYouTube動画と解説記事

よくある質問

馬主資格は誰でも取れますか?

地方競馬の馬主資格は所得500万円以上(年収約700万円相当)で申請できます。JRA馬主は所得2,000万円以上・資産1億円以上が必要です。サラリーマンでも地方馬主の取得は十分可能です。

馬主資格の取得にどのくらいかかりますか?

書類準備に約1ヶ月、審査に地方競馬で約5ヶ月、JRAで約2〜3ヶ月です。僕の場合はJRA+地方の両方を取得するのに合計約9ヶ月かかりました。

書類集めは自分でやる必要がありますか?

公的書類はほぼすべて委任状で代理取得が可能です。行政書士に依頼すれば約3万円で全書類の代行を受けられるケースもあります。

地方馬主とJRA馬主、どちらを先に取るべきですか?

ほとんどの方には地方馬主からのスタートをおすすめします。所得500万円から取得でき、維持費も中央より安い。一口馬主→地方共有馬主→地方1頭持ち→中央馬主と段階的にステップアップするのが現実的です。

馬主会の面接は難しいですか?

審査というより入会前のコミュニケーションという印象です。なぜ馬主になったか、目指すレースは何かなど和やかに質問されます。共有馬主のみの方でも問題なく入会できます。

競馬場のパドック風景

共有馬主を始めてみませんか?

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