一口馬主を8クラブ・15頭経験した僕が、なぜ共有馬主に比重を移したのか。結論から言うと、「自分の馬」という実感がまったく違うから。ただ、全員にステップアップを勧めるわけじゃない。儲けたい人は本当にやめた方がいい。
一口馬主を「やめた」わけじゃない
最初に言っておくと、僕は一口馬主を完全にやめたわけじゃない。
正確には 「一口馬主の比率を大幅に減らして、共有馬主をメインにした」 という話。サンデー、シルク、キャロットと大手3クラブで15頭ほど持っている。合計で約1/5口。2026年3月時点の話だ。
で、3年くらい前から地方競馬の共有馬主と個人馬主を始めた。
ちなみに、「一口馬主 やめた」「一口馬主 後悔」で検索してこの記事にたどり着いた人も多いと思う。その気持ち、めちゃくちゃわかる。僕もそうだったから。
一口馬主に限界を感じた瞬間|インゼルのルクルスで決意した
僕が「もう限界だ」と思った決定的な出来事がある。インゼルのルクルスという馬だ。
怪我をしたわけでもないのに、謎の1年半の休養。その間も会費や維持費はずっと発生し続ける。ようやく復帰したと思ったら15着。さらに4ヶ月休んで18着。
普通ならここで引退だと思う。でも引退しない。
全く勝てる見込みがないのに6ヶ月休養、そしてまた15着。ここで引退検討に入るも、結論は「もう少し頑張らせたい」。謎の判断だ。そこからさらに約半年にわたって10着以下を繰り返し、ようやく引退。
この間ずっと、会費と維持費を取られ続けた。
一口馬主にはレース選択にも、引退の判断にも口を出す権利がない。わかってる。わかってるけど、自分のお金で走らせてるのに何もコントロールできない虚しさは、経験した人じゃないとわからない。
「インゼルは絶対にやめよう」。あの時はっきりと決意した。
ちなみに、YouTubeで一口馬主クラブをやめた理由の動画を出したが、視聴者の反応は「まぁその通りですよね」というものが多かった。やめたクラブはノーザン系でないクラブで、ダメな理由が明確にあったから1mmも迷いはなかった。
口取り抽選と月会費の問題
口取りが一生当たらない
400口の馬が重賞を勝った。口取り抽選に申し込んだ。結果、落選。
これ、何回繰り返したかわからない。自分の馬が勝ってるのに、ウィナーズサークルに立てない。「自分の馬」って何だろうって、正直思った。
月会費×3クラブの地味な負担
サンデー、シルク、キャロットの3クラブに入っていると、月会費だけで9,900円。馬が走ってようが走ってまいが毎月かかる。
維持費はざっと月60万円の1/5で約12万円。合計すると月のランニングコストは約13万円になる。
13万円あれば共有馬主で地方の馬を1頭持てる。同じお金を使うなら、どっちが「馬主体験」として満足度が高いか。答えは明白だった。
共有馬主にして変わったこと
調教師と直接連絡できる
共有馬主で一番の想定外は、案外調教師さんが個人馬主みたいに接してくれたこと。
連絡先も交換できた。個人馬主ほど密ではないものの、馬の状態も聞けば教えてくれる。レース後に連絡が来ることもある。
一口馬主だと、クラブのホームページで近況報告を読むだけ。この差は想像以上に大きかった。
パドックの中に入れる
初めて馬主席に入ったのは福島競馬場。レックスPROの共有馬ファリーザのデビュー戦だった。
正直、福島の馬主席自体は「普通」だった。指定席の上の席といった感じ。実は競馬場によって馬主席にも差がある。ロイヤルファミリーの舞台にもなった東京競馬場は馬主席が独立していてかなり特別感があるが、福島や中山は指定席とそこまで変わらない。
でも、それよりも大きかったのはパドックの中に入って関係者と会話ができること。自分の馬が目の前を歩いてる。馬体の張り、毛艶、気合い。全部自分の目で確認できる。
一口馬主の時は、パドックの外から双眼鏡で見てた。同じ「馬主」でも、見える景色がまったく違う。これが馬主になってよかった一番のポイントだった。
意外と変わらなかったこと
勝てない馬は勝てない
これは残念だけど事実。馬主の形態が変わっても、馬の能力は変わらない。弱い馬は弱い。
「共有馬主になれば勝てる」なんて幻想は持たないほうがいい。ただ、負けた時の納得感は全然違う。自分で選んだ馬、自分で確認した状態、それで負けたなら受け入れられる。
お金はかかる。むしろ増えた
一口馬主より安くなるかというと、全然そうじゃない。
個人馬主として4頭所有、繁殖も含めると今の僕の支出は月200万円くらい。共有馬主のレックスPROは会費無料だけど、月の維持費は5〜10万円。厩舎にいるかいないかで結構変わる。
実際の預託料の請求書は共有してもらえるが、正直「こんなに高いのか?」と思うことはあった。透明性があるぶん、数字がリアルに見える。
ただ、お金の使い方の納得感は一口馬主とは段違い。何に使われてるか全部見える。不透明な会費じゃない。
一口馬主をやめるべき人・続けるべき人
こんな人は共有馬主を検討すべき
- 口取り抽選に毎回落ちてモヤモヤしてる
- 「自分の判断で馬を選びたい」と思い始めた
- 年収500万円以上で、月15万円程度の出費が可能
- 地方競馬に抵抗がない
- 調教師やスタッフと直接関わりたい
こんな人は一口馬主のままでいい
- G1の口取りが最大の目的
- JRAの有名種牡馬の子に出資することに価値を感じる
- 月数千円のライトな関わり方が心地いい
- 調教師と直接やりとりする気がない
正直、全員が共有馬主になるべきとは思っていない。一口馬主には一口の良さがある。JRAのG1に出走する馬の馬主になれるのは、一口ならではの体験だ。
後悔しない選び方
いきなり全部やめない
僕がおすすめするのは、一口を減らしながら共有を足すという方法。
いきなり一口を全部解約して共有に突っ込むと、合わなかった時にダメージが大きい。一口を2〜3頭に絞って、まず1頭共有馬主を始める。それで1年やってみて判断すればいい。
クラブ選びが9割
共有馬主は、どのクラブに入るかで体験がまったく変わる。代表馬主の人柄、馬の選び方、情報共有の頻度、費用の透明性。全部違う。
うまポイでは共有馬主クラブの比較もまとめているので、参考にしてほしい。
まず馬主資格を取る
共有馬主になるには馬主資格が必要。地方競馬なら年収500万円程度から申請できる。
→ 馬主になるための完全ガイド → 一口馬主から共有馬主へのステップアップガイド
まとめ
一口馬主を「やめた」のではなく、「ステップアップした」。
8クラブ経験して感じた限界、インゼルのルクルスで決意した瞬間、共有馬主で得られた調教師との距離感とパドックの景色。
馬主体験を深めたいなら、共有馬主は間違いなく次のステージだと思う。
ただし、ほぼ100%儲からない。儲けたい人は本当にやめた方がいい。それでも「自分の馬を持つ」ことに価値を感じるなら、まずは一口を減らしながら共有を足す。そうやって自分に合った馬主ライフを見つけてほしい。
