2025年の馬のセリをほぼ全て視察したnaoya氏によると、セリ市場は馬の価格高騰と情報公開の進展により、「ラッキー」だけで良い馬に出会える機会が激減していると語ります。特にセレクトセールは超高額化し、ノーザンファームの馬が依然として優位を保つ一方で、サマーセールなどでは血統や馬体のリスクを承知の上で「お買い得」を狙う戦略が重要だと指摘。馬主が勝つためには、**価格と賞金のバランスを冷静に見極める「自分なりの基準」**を確立することが不可欠です。
2025年馬のセリ概観:naoya氏が語る馬主のリアル
1年間のセリ参加で見えた「自分の基準」
naoya氏は、2025年の1年間を通して、トレーニングセールを除くほぼ全ての馬のセリに足を運び、視察したと語ります。これは自身の馬主としての知見を深めるための「勉強」の一環であり、単に馬を落札する目的だけでなく、市場全体の動向を肌で感じ、「これは良い、これはダメ」という自分なりの明確な基準を確立することに繋がったと述べています。
naoya氏の実体験として、セレクトセール以外のセリでは、落札するつもりがない馬についても「もし自分が買うなら」という視点で評価し、その後の競走成績を追うことで、自身の判断のフィードバックを得ていると語ります。この地道な作業が、馬を見る目を養う上で非常に重要であると強調しています。
セリ市場の現状と課題:高騰する馬の価格
現在のセリ市場は、全体的に馬の価格が「どんどん高くなっている」という現状があります。naoya氏によると、特に良血馬や期待値の高い馬は、資金力のある大手馬主や有名調教師が「良い馬はみんな持っていく」という状況であり、個人馬主が安価で良質な馬を手に入れるのは一層困難になっていると分析します。
この価格高騰の背景には、馬主全体の「群衆心理」と、補助金制度がセリの値段を吊り上げている側面もあるとnaoya氏は指摘します。結果として、馬の価格と中央競馬の賞金とのバランスが崩れ、「8割9割の馬主は儲かっていない」状況が生まれていると警鐘を鳴らしています。
各セリの特徴とnaoya氏の評価
JRAブリーズアップセール:育成済み2歳馬の魅力とリスク
JRAブリーズアップセールは、naoya氏の愛馬「クロちゃん」の出身セールでもあります。このセールの大きな特徴は、JRAが1年前にサマーセールなどで購入した1歳馬をトレーニングし、2歳になった4月に売り出す点です。
- 価格帯: 中
- 勝上率: 低
- 安心率: 超高
魅力:
- 育成費がかからない: naoya氏によると、購入後すぐにデビューできるため、育成費用を節約できます。
- レポジトリが解説付き: JRAが提供するレポジトリ(馬に関する診断書)は、喉や脚、体調に関するリスクまで詳細に解説されており、非常に安心感が高いとのことです。後から骨折などの隠れた問題が発覚する心配が少ないため、安心して購入できる点が最大のメリットと言えます。
リスクとnaoya氏の提言: naoya氏は、JRAブリーズアップセールについて**「ぶっちゃけ安くはない」**と評価します。育成込みの価格であるため、決して手頃な価格ではないとのことです。また、naoya氏は個人的な意見として、「育成込みでここで買うなら、俺だったら待つ」と述べ、知人であれば「全力で止める」とまで語っています。これは、JRAの育成が「ほぼ実験」的な側面を持つことや、価格に見合うパフォーマンスが得られない可能性があることを示唆しています。
社台千葉サラブレッドセール:高額良血馬とnaoya氏の「学び」
社台千葉サラブレッドセールは、社台グループが主催する2歳馬のセリです。JRAブリーズアップセールと同様に、社台がサマーセールなどで仕入れた馬を調教して売り出します。
- 価格帯: 高
- 勝上率: 中
- 安心率: 中
特徴:
- 高額帯: naoya氏によると「このセリは高い」と評されており、高価格帯の馬が多く取引されます。
- naoya氏の個人的な思い出: naoya氏が初めてセリで馬を購入した際の思い出深いセールでもあります。当時はセリの知識が乏しく、軽い気持ちで臨んだ結果、後に「ウイングブルー」を購入することになったと語っています。
naoya氏の「学び」: このセールでの経験から、naoya氏は大きな学びを得ました。当時naoya氏が注目していた馬がいたものの、ある先輩馬主からのアドバイスで落札を思いとどまったそうです。結果として、その馬は全く走らなかったため、naoya氏はこの先輩を「神様だと思っている」とまで語っています。この経験から、naoya氏は「馬の見る目を養う基準が明確になった」と述べており、安易な気持ちで高額馬に手を出すことの危険性を強く感じたようです。
北海道トレーニングセール:低価格帯の「落とし穴」?
北海道トレーニングセールは、北海道で開催される2歳馬のトレーニングセールです。
- 価格帯: 低
- 勝上率: 超低
- 安心率: 超低
naoya氏の評価: naoya氏は、このセールについて**「結構やばい」と非常に厳しい評価を下しています。その理由として、牧場側が「2歳まで売らないで待っている」ことの意味を考えるべきだと指摘します。通常、牧場は育成費用を少しでも早く回収したいため、良い馬であれば1歳のうちに売却しようとします。しかし、このセールに2歳まで持ち込まれる馬は、「売れるラストチャンス」**として出されている可能性が高く、ここで売れなければ自分で走らせるか処分するしかない状況にあると言います。
naoya氏は、このセールに「トレーニングした出来上がりを見てください!」という意図があるとしても、その実態は牧場側の都合によるところが大きいと推測します。そのため、知り合いであれば「全力で止める」とまで語るほど、安易な購入にはリスクが伴うと警告しています。
セレクトセール:超高額馬の祭典とノーザンファームの優位性
セレクトセールは、国内最高峰の馬のセリであり、高額取引が連日行われることでも有名です。
- 価格帯: 超高
- 勝上率: 超高(ノーザン馬)、高(他)
- 安心率: 高
特徴:
- 高額取引: naoya氏は「もうどんどん高くなる」と述べ、市場価格の高騰が顕著なセールです。
- ノーザンファームの圧倒的優位: naoya氏によると、セレクトセールではノーザンファームの育成馬が圧倒的に高い勝上率を誇ります。naoya氏は「ノーザンの育成と他の育成は絶対違う」「牧場見学一つ行ったら分かる」とまで断言し、**セレクトセールで馬を買うなら「ノーザンの馬しか買わない」**と自身の戦略を語っています。
育成コストのポイント: ノーザンファームの馬は高額ですが、naoya氏は**「コストは実は日高で育成するより安かったりする」**と指摘します。これは、ノーザンファームの育成システムが効率的であることや、特別な割引制度が存在するためと考えられます。このコスト面での優位性も、naoya氏がノーザンファームの馬を選ぶ大きな理由となっています。
狙い目の馬: セレクトセールでは、地方向けのダート血統の馬が意外と売れ残ることがあるそうです。これは、中央の馬主が芝血統を優先する傾向があるためと考えられます。naoya氏は、このような中央馬主が敬遠するダート血統の良質な馬を狙うのも一つの戦略だと示唆しています。
サマーセール:多数の選択肢と群衆心理
サマーセールは、最も頭数が多いセリであり、幅広い価格帯の馬が取引されます。
- 価格帯: 中
- 勝上率: 中
- 安心率: 低
特徴:
- 選択肢の多さ: naoya氏は「数が多いからワンチャン狙い」の馬も多く出ると語ります。
- 情報戦の激化: 頭数が多いため、しっかりと情報を収集し、馬体やレポジトリ(診断書)を確認することが不可欠です。naoya氏は「レポは絶対見ないとダメ」と強調し、3分の1くらいの馬には何かしらのリスクがあると述べています。
- 群衆心理の影響: サマーセールには多くの馬主が集まるため、「群衆心理」が価格に影響を与えやすい傾向があります。naoya氏によると、近年は「お値段以上」の馬を見つけるのが難しくなっており、みんなが同じ馬に注目することで、価格が吊り上がってしまう現象が見られるそうです。
naoya氏の戦略: naoya氏は、サマーセールに行く前に必ずノーザンファームの馬を見学してから臨むそうです。これは「良い馬を見て目が肥えた状態で行く」ことで、サマーセールの馬を冷静に評価し、ブレのない判断をするためです。そして、「キラーっと良いと思った」馬であれば、例え血統がノーザンに劣っていても、馬格が良く、レポジトリに問題がなければ、勝つ可能性を見出すことができると語ります。
セプテンバーセールと繁殖セール:後発セリと新たな可能性
セプテンバーセールはサマーセールの後に行われるセリで、馬質はさらに落ちる傾向にあります。
- セプテンバーセール
- 価格帯: 低
- 勝上率: 超低
- 安心率: 超低
特徴:
- 馬質の低下: naoya氏によると、セプテンバーセールでは「セプテンバーになった瞬間に一気に馬質が落ちる」と明確に語っています。良い馬はすでに前のセリで取引されているため、この段階まで残っている馬には何かしらの理由があると考えられます。
- レポのリスク: 後発のセリになるほど、「レポのヤバイ率」が高まるとnaoya氏は指摘します。これは、前のセリで売れ残った馬の中に、健康上のリスクを抱える馬が多く含まれるためです。
繁殖セール: 繁殖セールでは、繁殖牝馬が取引されます。naoya氏によると、このセールにはノーザンファームの繁殖牝馬も出てくることがあるそうです。
- 価格帯: 低
- 勝上率: -
- 安心率: -
naoya氏の新たな視点: naoya氏は、繁殖セールについて「サマーで買うならこっちでもいいかな」と最近思い始めていると語ります。特に、現役時代に活躍した馬が繁殖牝馬として比較的安価で手に入る場合があるからです。naoya氏は、実際にマジェスティックウォリアーとエンパイアメーカーの組み合わせの繁殖牝馬を購入した経験があり、この血統は「めちゃくちゃ走る」と評価しています。
しかし、ノーザンファームが繁殖牝馬を売却しても、購入者がノーザンファームに育成を依頼できないケースがあるため、この点は注意が必要です。naoya氏は、「子だけ取って、お母さん(繁殖牝馬)は別に処分」という戦略を取る馬主もいると語り、繁殖セールが新たな「お買い得」を見つける場になりつつあることを示唆しています。
naoya氏が語るセリ戦略の真髄
セレクトセール高騰の背景と市場の歪み
naoya氏は、2025年のセリ市場全体、特にセレクトセールの価格高騰について、**「みんな金持ちすぎだよ」「もうちょっとウマバブルどうにかしてください」**と率直な感想を述べています。これは、資金力のある馬主が集中することで、馬の価格が実力以上に吊り上げられている現状への問題提起です。
naoya氏の分析では、馬全体の価格が上がっているにもかかわらず、賞金総額のバランスが取れていないため、「みんな8割9割儲かってない」という状況に陥っていると言います。この市場の歪みが、馬主たちが「ちょっとでも儲けよう」と必死になり、情報戦を激化させている要因だと指摘しています。
「みんな見ている」市場の現実とラッキーの減少
現代のセリ市場は、naoya氏の言葉を借りれば**「みんな、よく見てます」**。インターネットによる情報公開が進み、馬主たちは血統、馬体、レポジトリ(診断書)など、あらゆる情報を徹底的に調べてセリに臨みます。
- 過去のように**「ラッキー」で良い馬を安く手に入れる機会は「めちゃくちゃ減っている」**とnaoya氏は断言します。
- 誰も見ていない掘り出し物はほとんどなく、良い馬は必ず複数の馬主から注目され、高値で取引されるのが現実です。
- naoya氏自身も、あまりピックアップしていない馬でも**「マジで被る」**経験を語っており、「みんな見ている馬は一緒」という状況が常態化していることを示しています。
この情報過多の時代において、安易な情報に流されず、自分なりの確固たる評価基準を持つことの重要性が強調されています。
馬主が「勝つ」ための視点:バランスの重要性
naoya氏は、馬主がセリで「勝つ」ためには、以下の3つの視点を持つことが重要だと結論付けています。
- 「走る確率の高い馬」は高い:情報が公開され、みんなが馬を見る目が肥えているため、素直に良い馬は高額になります。これは市場の自然な摂理であり、安価で良質な馬はほとんど存在しないという現実を受け入れる必要があります。
- 価格と賞金のバランス: 馬の購入価格が上がっている一方で、中央競馬の賞金体系がそれに見合っていない現状があります。馬主は、**「道楽で1000万円かけられる人」と「真剣勝負で儲けたい人」**のどちらのスタンスで臨むかを明確にし、購入価格と将来的な賞金獲得のバランスを冷静に判断する必要があります。
- 「セリはよく考えられたシステム」:naoya氏は「セリってよく考えられたシステムだなぁ」と語ります。これは、マグロのように「食べて終わり」ではなく、その後の育成や競走成績、さらには繁殖としての価値まで見据えた「真剣勝負」の場であるからです。
最終的に、馬主が成功するためには、「自分自身の基準」を確立し、客観的な情報と自身の経験に基づいた冷静な判断力が不可欠であるとnaoya氏は提言しています。
まとめ
2025年の馬のセリ市場は、価格高騰と情報公開の進展により、馬主にとって「ラッキー」な出会いが激減しているという現実が浮き彫りになりました。naoya氏の広範なセリ視察経験から、ノーザンファームの育成馬が依然として高い勝上率を誇る一方で、高額化が進行していることが示されています。
特に、JRAブリーズアップセールやトレーニングセールには育成費用やリスクの側面があり、安易な購入は避けるべきだとnaoya氏は警告します。一方で、サマーセールや繁殖セールには、**適切な情報収集と「自分なりの明確な基準」**を持つことで、「お買い得」を見つけるチャンスが残されている可能性も指摘されました。
馬主がセリで成功するためには、市場の「群衆心理」に流されず、冷静な分析力と、馬の価格と将来的な賞金のバランスを見極める視点が不可欠です。セリは単なる売買の場ではなく、奥深い「真剣勝負のシステム」であるとnaoya氏は結論付けています。
よくある質問
Q1: 初心者馬主がセリで良い馬を見つけるための秘訣は何ですか?
A1: naoya氏によると、初心者馬主がセリで良い馬を見つけるためには、まず**「自分なりの明確な基準」を確立すること**が重要です。多くのセリを見て、血統、馬体、レポジトリ(診断書)の情報を徹底的に収集し、その後の競走成績と照らし合わせて自身の評価をフィードバックする地道な努力が欠かせません。また、信頼できる調教師や先輩馬主のアドバイスを聞き入れ、安易な情報や群衆心理に流されない冷静な判断力が求められます。
Q2: なぜセレクトセールではノーザンファームの馬が優位なのですか?
A2: naoya氏によると、セレクトセールにおけるノーザンファームの優位性は、その圧倒的な育成技術と実績に裏打ちされています。ノーザンファームは、他の牧場とは一線を画す高いレベルの育成を行っており、その結果として高い勝上率を誇っています。また、育成費用に関しても、実は日高の牧場で育成するよりも安価になるケースがあるため、総合的に見てコストパフォーマンスが高いとnaoya氏は評価しています。
Q3: サマーセールや繁殖セールで「お買い得」な馬を見つけるためのポイントはありますか?
A3: サマーセールでは、頭数が多いため、血統や馬体に何かしらのリスクがあるものの、価格が抑えられている馬の中に「お買い得」が潜んでいる可能性があります。naoya氏は、レポジトリを徹底的に確認し、リスクを承知の上で将来性を見込むことが重要だと語ります。繁殖セールでは、現役時代に活躍した馬が比較的安価で手に入る場合があり、子馬の血統や将来性を考慮した上で、繁殖牝馬として購入するという戦略も有効です。ただし、これらのセリは馬質が全体的に下がる傾向にあるため、より慎重な選定が求められます。
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naoya
JRA馬主 / うまポイ共有オーナーズ運営者
JRA馬主、NAR馬主として中央・地方あわせてブルーの冠名で複数頭を所有。一口馬主(サンデーレーシング・シルクホースクラブ・キャロットファーム等)を経て馬主資格を取得。共有馬主クラブ「うまポイ共有オーナーズ」を運営。

